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弁護士法人グレイス
古手川 隆訓
Founder & Managing Partner
https://www.kotegawa-law.com/
弁護士法人グレイスは、東京・港区を本拠とし、全国6拠点において企業向けの顧問弁護士サービスを展開しています。
「いつでも、どこからでも、自社の法務部のように気軽に相談できる弁護士法人でありたい」という思いのもと、チャットツールを活用したオンラインでの法律相談など、業界内でも先進的な取り組みを行っています。
顧問先は、東証プライム上場企業から個人経営の小規模事業者まで、実に多種多様です。現在は700社を超える企業と顧問契約を締結し、幅広い分野の法律相談に対応しています。
私自身はかつて、会社員として営業職に従事していました。今でも記憶に残っているのは社内弁護士とのやり取りです。契約書作成時には社内弁護士によるチェックが必須だったのですが、私は毎回、お客様と接する以上に緊張していたのを覚えています。
今でこそ時代は変わりましたが、私が会社員だった26、7年前は、社内に弁護士がいること自体が非常に珍しく、弁護士という存在は人材的にも希少で、どこか近寄りがたく畏敬の念すら抱くような存在でした。
一方、営業職としてのキャリアに不安を感じていた私は、生涯を支えてくれるようなスキルを模索していました。そんな折、ふと立ち寄った書店で弁護士に関する書籍を手に取り、「これだ」と直感。2000年1月に会社を退職し、本格的に法律の勉強を始め、2003年に司法試験に合格。弁護士資格を取得しました。
3年間の実務経験を積んだ後、独立開業へと踏み切りました。
私は、弁護士という職業を「法律事務を提供するサービス業」と捉えており、サービス業としての法律事務所を目指しました。会社員時代に感じた社内弁護士との間にあった心理的な壁を、私のお客様には感じてほしくない――そんな思いから、「何でも気軽に相談できる存在」であり続けることを信念として出発したのです。
あれから16年。現在では弁護士21名、スタッフ38名を擁する組織となり、顧問先企業数も700社を超えるまでになりました。創業当初から変わらぬ、「お客様に徹底的に寄り添い、真に価値あるサービスを提供する」という想いのもと、日々業務にあたっています。
多くの企業が、法務担当者を自社で雇用する余裕を持てずにいます。そうした中、当法人は法務機能のアウトソーシングサービスを提供しています。
オンライン会議や電話相談に加え、チャットツールを活用した「顧問チャットサービス」も展開。顧問先の経営者や担当者は、当法人といつでも、どこからでもチャットで法律相談が可能です。送信されたチャットは企業法務部に所属する弁護士全員で確認し、原則24時間以内に返信しています。
このサービスにより、まるで自社の法務担当者とやり取りしているかのような気軽さで質問ができ、緊急の相談にも迅速に対応可能。担当弁護士が不在の際も、問題解決を先延ばしにせずに対応できる点が大きなメリットです。
顧問先にとっては、まさに「社外にある法務部」のような感覚で、心理的なハードルを感じることなくご相談いただけるのが特長です。
当法人では、法律問題だけにとどまらず、経営全般に関する相談にも積極的に応じています。これは、法律事務所の枠を超えて経営者に寄り添いたいという姿勢の表れです。
たとえば、顧問先の飲食店がテナントを撤退する際、契約上後継テナントの選定が必要となったケースでは、私たちも後継テナント探しに協力したりします。
経営者が抱える課題のうち、法律だけで解決できることはごく一部に過ぎません。特に、採用や人材の定着といった“人”に関する問題は、どの企業でも共通する大きな課題です。当法人は、そうした課題にも真正面から向き合い、あらゆる角度から解決の糸口を探ります。
その実現のために、社会保険労務士法人、行政書士法人を設立し、今後は税理士法人、司法書士法人の設立も予定しています。さらに、海外の意欲ある人材と日本企業をつなぐべく、登録支援機関を立ち上げ、ベトナム・インドネシア・ミャンマーからの人材受け入れも行っています。
また、日本人医療人材の採用を支援する会社も設立し、看護師不足に悩む医療機関の課題解決にも取り組んでいます。
顧問先の「困った」に真正面から応えられるよう、私たちは常に挑戦を続けています。
当法人は、「チームとして動くこと」を重視しています。
弁護士業界では、個人が案件を抱え込む傾向が強く、事務所が“個の集合体”となりがちです。しかし当法人では、個の力を結集し、組織としてより高い価値を提供できる体制を築いてきました。
その一環として、業界では珍しい取り組みでしょうが毎週のモーニングミーティングを実施。また、年初には全所員参加のキックオフミーティングを行い、「今年、私たちは何を目指すのか」「それをどう達成するか」を共有することで、組織全体の方向性を一致させています。
一般的な企業が行う組織運営と同じ水準の意識を、私たちも持って臨んでいます。
顧問先である企業の皆様は、常に激しい競争の中に身を置いています。私たちも、そのスピード感・レスポンス・クオリティ・礼節といった要素を徹底的に意識して業務を遂行しています。
目指すのは、チームだからこそ実現できる高い価値の創出です。
そして2028年中に、顧問先企業数を1000社にすることを目標としています。これは、個の集合体では決して達成できない大きな目標であり、強い組織力が求められます。
だからこそ、所員一人ひとりが働きやすく、ストレスを感じにくい組織づくりに注力しています。
企業法務を本当に極めるためには、会社法などの知識だけでなく、社会にどのようなビジネスモデルが存在し、経営者がどのような課題を抱えているのか、さらには“経営とは何か”という本質にまで関心を持つ必要があると考えます。
私たちが目指すのは、法的サービスの提供にとどまらず、顧問先の売上拡大や組織強化、人材採用までサポートできる存在となることです。
当法人の本店は東京にありますが、地方都市にも拠点を構えています。現在、優秀な人材が地方から東京へ流出する状況が続いていますが、私はむしろ地方に人材が根付き、最終的には東京から地方へ人を呼び込むような流れをつくっていきたいと考えています。
今後も、法律問題の解決にとどまらず、顧問先の成長をさらに加速させるため、幅広いサービスの提供に努めてまいります。