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酒気帯び運転に基づく自損事故を原因とする解雇について(裁判例紹介)

2013.10.08

鹿児島の弁護士の古手川です。

今回は、酒気帯び運転を原因として、自損事故を起こしたことを理由とする懲戒免職処分に関する裁判例をご紹介したいと思います。


事案の内容は、公務員が非番の日に飲酒して原動機付自転車を運転していたところ、転倒して救急搬送されたというものです。

病院で警察から飲酒検査を受けた結果、呼気からアルコールが検出され、酒気帯び運転が発覚しました。

この公務員は懲戒免職処分を受けたものの、処分が社会通念上著しく過酷であり、裁量権を逸脱するものであるとして、処分の取り消しを求めて裁判所に提訴しました。


結論としては、懲戒免職処分を取り消すという判決が出ています。

裁判所は、この公務員の勤務態度が良好であったこと、過去に前科前歴がないこと、酒気帯び運転の態様、本件処分によりこの公務員が受ける不利益の程度などを総合的に考慮すると、社会通念上著しく妥当性を欠き、裁量権を逸脱したものと評価するのが相当と判断しました。

飲酒運転や酒気帯び運転は厳罰化の方向に進んでいます。

しかしながら、従業員等が酒気帯び運転をした場合に直ちに懲戒解雇にすると、この裁判例のように処分を取り消されてしまう可能性があることを認識しておかなければなりません。

もっともこの裁判例は、酒気帯び運転の自損事故のケースであるため、事故によって第三者に怪我を負わせてしまったような場合は異なる結論になる可能性が高いといえます。

また、酒気帯び運転にとどまる場合も、違反を繰り返しているような場合には、懲戒解雇処分もやむ負えないという結論になる可能性が高いといえます。

以上

酒気帯び運転に基づく自損事故を原因とする解雇について(裁判例紹介)
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