弁護士碓井 晶子
2018.05.25
相続問題
Q
A
民法では、成年被後見人・被保佐人・被補助人・未成年者の行為能力の制限に関する5条、9条、13条及び17条の規定は、遺言については適用しないとしていますので(民法962条)、これらの者も単独で遺言をすることができます。
すなわち、遺言者が成年被後見人であっても、遺言の時に意思能力を有していればその遺言は取り消されることなく有効となります。そして、遺言者は、遺言時に遺言能力を有していれば足りますので、その後意思能力が失われたとしても遺言の効力には影響が及びません。
他方で、成年被後見人の法定代理人が成年被後見人に代わって遺言をなし得るか否かについては、民法上規定はありませんが、遺言は本人がその最終の意思を表明するものですから、代理遺言はできないものと解されているので注意が必要です。
また、未成年者については満15歳になれば遺言能力があるとされていますので、そのような者が遺言するには法定代理人の同意を得る必要はありません(民法962条、5条1項本文)。したがって、満15歳以上の未成年者の作成した遺言は、法定代理人の同意を得なくても取消し得ないことになります(民法962条、5条2項)。
回答した弁護士
弁護士碓井 晶子