弁護士高山 桂
2017.05.25
労災問題
Q
A
従業員が職務中に事故に巻き込まれた場合、まず従業員は労災保険により治療費と生活補償を受けることができます。しかし、安全に従業員が労働できるように会社が配慮すべき安全配慮義務を怠っていた場合、会社に対し賠償請求を行う事が可能となります。時に、この賠償金は数千万円になることも珍しくなく、会社の経営にも非常に大きな影響を及ぼす可能性さえ存在します。
では、安全配慮義務を果たすためには、何を行うべきでしょうか。答えは事故が発生する危険性を「予想」し、その危険性に対する適切な「対処」を行う事です。
例えば、不具合のある大型機械を使い続けていた場合、どのような事故が予想されますか?機械を使用している作業員が怪我をする、周囲の作業員に危害を加える等の様々な事故の可能性が考えられます。そして、そのような危険に対する適切な対処は「機械を修理する」です。
つまり、法は予想する事ができないような異常な事故が起きた場合にまで会社に賠償責任を負わせるつもりはありません。その事故を予想し、適切な対処ができたはずであるにも関わらず、これを行わなかったために発生した事故にのみ賠償責任を課しているのです。
適切な労働環境を整えておくことは、突然発生する労災事故に対処するための最善の防衛策です。もし、会社の労働環境・安全環境等に不安を感じられる方がいらっしゃれば、労災事故等の事故に強い弁護士のいる弁護士法人グレイスに御相談いただければと存じます。
回答した弁護士
弁護士高山 桂