事故・傷害部
弁護士永渕 友也
2018.12.25
労災問題
Q
A
労災補償の対象になるには、負傷が業務災害に該当する必要があります。業務災害に該当するには、業務遂行性と業務起因性が認められる必要がありますが、忘年会などの懇親会での負傷の場合に問題となるのは、業務遂行性です。まず前提としてその懇親会に業務遂行性が認められるか検討する必要があります。
業務遂行性とは、事業主の支配・管理下にあったことをいいます。懇親会の業務遂行性を判断するにあたっては、多くの裁判例では、懇親会の主催者、目的、内容、参加方法、運営方法、費用負担等を総合的に考慮しているようです。裁判例の多数は、懇親会の業務遂行性を否定しています。
高等裁判所の裁判例では、結論として懇親会の業務遂行性は否定したものの、「社外行事を行うことが事業運営上緊要なものと客観的に認められ、かつ労働者に対しこれへの参加が強制されているときに限り、労働者の右社外行事への参加が業務行為になると解するのが相当である」と判示したものがあります。このような事情が認められる場合は、懇親会等での負傷であっても労災補償の対象になる可能性があります。